初恋、破れたり(short)

何度も降掛かる、苦痛。

「お前は、そちら側に通じているのか」

腹を押さえて踞ることしかできず、呼吸もままならない。

「…貴方は…そのような…」

「穢らわしい。寄るな、下衆」

更に打撃を受け、支えきれぬ身体は力なく地面に転がる。

「………は…ぁ…、」 

 

 

息が、できない。

苦しい 。

どうして。

なんで。

 

  

 

 

………全て、嘘だったのですか。

 

 

 

止まぬ泪に、何もかも滲んで。

 

 

恥ずかしくて。

情けなくて。

何よりも悔しくて。

 

 

気付けば右の手は深くに沈み、肘先までを赤黒く染上げた。

 

 

…こんな筈ではなかったのだ。 

貴方さえ、裏切らなければ。

 

  

それでも一度は愛した身、錯乱の中に快は見出せず、 

「……ごめんなさい……ごめんなさい…」 

 

泪ながらに繰り返し突き立て、ぬめる刃は、当に愛の如く。

それでも尚、小袖に鮮血は咲き誇る。

 

震えるその腕は、何も望まない。

ただ、純粋に、一途に求めたのは倒錯ではないのだ。

 

 

 

…愛が、愛が欲しかった。