散蓮華(short)

食堂の卓上、ひとり泣き伏す赤橙に問う。

…お主、何故泣いている。

暗赤の袖を濡らし、肩を震わせ噦り上げる。その口からは嗚咽しか漏れず、全く状況が読めない。

むぅ…。

ひとまず、背に手をかけ軽く叩いてやる。

どうしたのだ、お主らしくもない。

すると僅かばかり顔を持ち上げ、必死に言葉を紡ごうとするのだが、なかなかに聞き取れぬ。

…よし、わかった。もう喋らんで良い。

椅子を引き、隣に座る。

お主が落ち着くまで、側に居よう。だからもう泣くな。お主に泪は似合わぬ。

いつもより小さく見える背中を、静かにさすってやる。

…色恋沙汰か?

その言葉に、襷の掛からない肩が、びくりと揺れた。

苦笑の武士は息を吐く。

まだ諦めていなかったのか。全く、お主の一途さには呆れたものだ…。

 

 

…でも、もう、いいの。

貴方が側にいてくれるから。

 

 

背に沁みる暖かさ、掛けられる言葉に、気付けば哀泪は消えて。

その時、新たな恋が芽生えた。