忍、偲ぶ(short)

うら若き主の見目姿、初見参(ういけんざん)のもとに心奪われて久しい。 

しかしその翳りの実像は憂き覚えの産物。

 

 

 

 

仄暗い夕刻、痛い程に目を刺す紅葉の深紅。

秋も深けた時分に遣り戸を叩く。

 

「…手前、軒吊忍は貴方の生をお守りすべく差遣わされ、此処に至る」

幼き主の目に、跪く忍の者。彼はひどく驚いた様子であった。惑いの末、

「私に、傅くというのですか」

 

差し出す手に面食らう(しのび)。ああ、このお方は。

 

「何から何まで、貴方のすべてを見届けるが我が務め」

主ははらはらと泪を零した。

 

 

 

我が主は死するまで二度と、この城を出ることはないのだろう。